
見沼から、未来の暮らしをつくる。

コンクリートに囲まれた東京駅から、電車に揺られること約1時間。 埼玉県さいたま市緑区に降り立つと、そこにはディズニーランド約25個分(1,260ヘクタール)にも及ぶ広大な緑の空間「見沼(みぬま)田んぼ」が広がっています。
この巨大な田園風景の隅に、ひっそりと、しかし力強く息づく「1.1ヘクタールの特別な森」があるのをご存知でしょうか。
サッカー場約1.5面分ほどのその場所は、正式名称を「トラスト1号地(見沼田圃周辺斜面林)」と呼びます。今、この小さな森の周辺が、企業の最先端の環境保護(ESG)プロジェクトの舞台として、熱い視線を集めているのです。
なぜ、遠く離れた海外の森ではなく、埼玉の「1.1ヘクタールの森」がそれほどまでに優れているのでしょうか? その理由は、大きく4つあります。
この場所は、平らな田んぼといきなり交わっているわけではありません。一段高くなった台地の「森」から、低い「水辺(田んぼ)」に向かって、なだらかな斜面になっています。 この陸と水が交わる斜面のことを、専門用語で「エコトーン(移行帯)」と呼びます。 エコトーンの凄いところは、「森の生き物」と「水辺の生き物」、そして「その両方を行き来する生き物」がすべて集まってくることです。カエル、サギなどの野鳥、そして多様な昆虫たちにとって、ここはまさに命をつなぐためのタワーマンションのような場所。小さな面積でありながら、驚くほど高い生物多様性を誇る「生態系の心臓部」なのです。
さかのぼること江戸時代。見沼周辺の斜面林一帯は、数万羽のサギが子育てをする「サギ山」として、徳川将軍家から手厚く保護されてきた歴史を持ちます。 しかし、昭和の終わりから平成にかけての都市開発の波で、この貴重な森もコンクリートに変わる危機に直面しました。その時立ち上がったのが、地元の市民たちです。 1990年(平成2年)、埼玉県と県民が寄付金を出し合い、開発から守るためにこの土地を買い取りました。これが、埼玉県内に現在14箇所ある「緑のトラスト保全地」の記念すべき「第1号」です。「絶対にこの自然だけは守り抜く」という、市民の意志の象徴なのです。
「自然保護」と聞くと、人間が立ち入らないようにフェンスで囲い、そのまま放置するイメージがあるかもしれません。しかし、見沼の自然は違います。 1990年に土地を守り抜いて以来、30年以上にわたり、市民ボランティアが下草を刈り、竹を切り、適度に「手を入れる」ことで、多様な生き物が棲める明るい森が維持されてきました。人を遠ざけるのではなく、人が関わり続けることで守られてきた「共生」の自然なのです。
そして今、このトラスト1号地の周辺を舞台に、私たちは新しい挑戦を企てています。 それは、企業のオフィスから出たコーヒーかすや生ゴミを「炭(バイオ炭)」に変え、見沼の土に還すという現代の新しい「手入れ」の提案です。
私たちがここで目指す最高のシナリオは、「見沼で育った美味しい野菜を企業の社員食堂で買い取り、その調理で出た『野菜かす』を再び炭にして見沼の土に戻す」という、完全な循環サイクルです。
実はこれ、全く新しい試みではありません。 江戸時代、大都市「江戸」で出た下肥(し尿)などは舟で見沼へと運ばれ、良質な肥料として土に還り、そこで採れた新鮮な野菜がまた江戸の町を潤していました。 そう、今世界中が躍起になって探している「ネイチャーポジティブ(自然再興)」や「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の完璧なモデルケースは、400年前の日本にすでに存在していたのです。
令和の時代になり、かつての「江戸と見沼」の循環を、「東京(大都市)と見沼(自然)」の最先端のアクションとして再びスタートさせる。これって、すごくロマンのある話だと思いませんか?
オフィスビルの中で完結するのではなく、顔の見える農地と企業が直接つながること。それは、従業員の環境意識を変えるだけでなく、世界的に見ても危機的なレベルにある「日本の食料自給率」を、民間企業のアクションから底上げしていくことにも直結します。
しかし、このプロジェクトはまだ動き出していません。構想の段階です。 だからこそ、私たちは、この「新しい土づくり」の最初のパートナーとなってくれる企業を待っています。 オフィスのコーヒーかすの提供から、社食での野菜の買い取りまで、企業の規模や目的に合わせて様々な関わり方ができるプランをご用意しています。(※詳しくはプラン一覧をご覧ください)
400年前の人々が築いた豊かな生態系。今度は私たちが「日々の小さなアクション」を通じて、次の400年へと育てていく番です。 埼玉の小さな斜面林から始まる、地球の未来を変える壮大な実証実験。私たちと一緒に、ここから始めてみませんか?